Project 03
AI予測ソリューションを共創
お客様と共に、新しい価値の創造に向けた挑戦へ
航空機タイヤ摩擦予測ソリューションをリリース。
その開発の背景には何があったのか、お客様と共に目指す新しい価値の創造とは何か、
3名のプロジェクトメンバーに話を聞いた。
Project Member
-
T.H.
2013年入社/デジタルイノベーション推進部
2013年の中途入社後、AIを組み込んだWebシステムやAndroidアプリなどの開発に従事。2021年5月には課長に昇進。本プロジェクトでは全体進捗管理を行うプロジェクトマネージャーを担当。
-
H.M.
2004年入社/デジタルイノベーション推進部
新卒として入社後、タイヤ外観検査システム開発、タイヤ生産技術の可視化システム開発など、主にタイヤ生産を支えるシステム開発に従事。本プロジェクトでは現場での設計・開発を推進するプロジェクトリーダーを担当。
-
M.Y.
2020年入社/デジタルイノベーション推進部
自分が大学で学んだITと、社会を支えるモビリティの足といえるタイヤを掛け合わせることで価値ある仕事ができると感じ、2020年に新卒入社。本プロジェクトではWebダッシュボード画面の開発に従事。
航空業界にブリヂストン独自技術での貢献を目指す
航空機のタイヤは、機体の速度と重量を支えながら離着陸を繰り返すという過酷な条件下で使用され、通常、航空機が数百回離着陸する毎に新しいタイヤに交換する必要がある。さらに使用環境によってタイヤの摩耗進展速度が異なるため、これまで、突発的なタイヤ交換や、交換時期の集中が発生することが一般的であった。そのためJALは、十分な在庫レベルを確保しつつどのように在庫を削減していくか、整備の限られた時間・リソースを有効活用するためにどのように計画業務へ切り替えていけるかをタイヤ関連業務の課題として挙げた。そこでJALとブリヂストンとの共創で進める、AIによる機械学習を取り込んだ精度の高い「タイヤの摩耗予測モデル」の開発プロジェクトが発足した。
「JALの航空機整備の知見とブリヂストン独自のタイヤ摩耗予測技術とを掛け合わせることで、タイヤの適切な交換時期を予測するソリューション。そのシステム開発と持続的に運用できる体制整備を、親会社のブリヂストンと共に進めました」とプロジェクトマネージャーのT.H.は語ってくれた。
パートナー企業と協力しながら未開の領域へ挑戦
まだ誰も手がけていない領域だけに、手探りの場面は多い。初の取り組みとなるため、自社のみでなく、各専門分野に強いパートナー企業も招いたチーム体制を構築して開発を進めた。
プロジェクトリーダーとして開発現場を主導したH.M.は経験豊富だが、今回は心配も大きかったという。「まずはパートナー企業と協力し開発を進めましたが、最終的には当社単独で開発・運用を行える体制構築への移行も目指しました。開発も行いつつ、同時並行で、技術スキル吸収も行う必要があり難易度の高い挑戦でした」
プロジェクトメンバーのM.Y.も、徐々に開発を自社開発に移行していく際には苦慮したという。「プログラムのコード一つひとつを、それがどんな背景で書かれたのかを理解し習得するのには時間がかかりました」
プロジェクトを結実させるために粘り強く対応
プロジェクト終盤には最も大きな山場を迎えた。T.H.が説明してくれた。「航空機の機種毎に、入力データや分析システムの調整が必要となります。それまで進めていた機種でのシステム構築が完了し、別機種に横展開する段階になって様々な課題が生じました。当社が開発を引き継ぐ中で十分に把握しきれていない部分が残っていたことが原因となり危機に直面したのです」
この危機に、メンバー全員が一丸となって立ち上がったとH.M.は言う。「T.H.は改めてパートナー企業と当社との協力体制を強化しました。私はパートナー企業と協議を重ね、不明点が残らないよう細かなコミュニケーションを徹底。その結果、今ではほぼ当社独力で開発・運用ができています。メンバーのM.Y.の成長も心強かったです。自らシステムの理解を進め開発をリードしてくれました」
M.Y.は、ユーザーの使用感も考慮し、担当していたWeb画面の開発を進めた。「データを、JALで実際に使用していただく方に画面上でどう見せるか。そのビジュアライズの重要性を痛感しました。表示が小さいと見づらいですが、大きくしすぎると今度は表示するものが限られてしまいます。他にもどの要素を優先し見やすい位置に配置するかなども考慮し、ユーザーが迷いなく対応できる操作感を目指しました」
お客様と向き合い、更なる改善と拡大に向け挑戦へ
危機を乗り越え、航空機タイヤ摩擦予測ソリューションは無事に公開を迎えた。その後、ソリューションが実際に使用されるJALの整備工場を視察させてもらったM.Y.は感無量だったと語る。「自分たちの提供するソリューションがお客様のオペレーションで使用されるのを目の当たりにし、計画的な整備実施に今はもうこれが欠かせないとまで言っていただけました。実際の現場で役に立っているという実感を持つことができ、今後さらに良いものにしていきたいというモチベーションを得られました」
今後の展望をT.H.に聞いた。「今後対応機種を広げていき、さらに拡大・発展させていく予定です。対応機種を広げていくことで、航空機ホイール・タイヤ在庫の削減および航空機整備作業の効率化が可能となることで、航空機用ホイール・タイヤのバリューチェーン全体でのCO2排出量削減等に繋げられます。顧客価値・社会価値のどちらにも持続的に貢献できるように、これからも責任を持って当社で開発・運用を担っていきたいと考えています」
お客様と共創し、地域・世界への貢献を目指すソリューション事業はまだ始まったばかり。本当の挑戦はこれからだ。