Project 01
グループ社員のリモートワーク実現
ITインフラの最適化で事業停滞の危機を脱する
急遽リモートワークを推進したが、通信回線の障害が頻発した。
このままではブリヂストングループの事業全体が止まりかねない。
迅速な通信環境の再構築で、危機を回避したシステム技術本部の2名に話を聞いた。
Project Member
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M.S.
2001年入社/システム技術本部
文系学部出身だったが、世界的企業ブリヂストンのIT関連会社としての、経営の安定性とスケールの大きさに魅力を感じて入社。現在はグループ全体のITインフラ戦略の実行部門を牽引する責任の大きな立場を担う。
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K.K.
2005年入社/システム技術本部
普段からブリヂストンのIT統括部門との連携はもとより、協力ベンダーの大手SI企業や通信回線キャリアなどと一丸となり、全国に広がるグループ全体を網羅するネットワークインフラの設計・構築に従事。
テレワークの急拡大で通信接続障害が急増
2020年、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい始め、業種・業態・規模に関わらず、すべての企業はその対応を余儀なくされた。ブリヂストンはいち早く社員のステイホームを実施。工場の操業部門を除く、営業や開発設計、コーポレートなど様々な部門の社員が自宅でテレワークによる業務を行うこととなった。ところが、それによって外部ネットワークから社内のVPN(専用回線)へのアクセスが急増。通信障害が頻繁に発生し、ブリヂストングループのネットワークインフラの構築と運用を担うM.S.には迅速な対応が求められた。
「3月初旬にブリヂストングループとしてテレワークが推奨された後、4月に緊急事態宣言が発令され、社員たちには在宅勤務が強いられました。それで社内ネットワークへのアクセスが著しく増加して、当然のように、“つながらない”、“これでは仕事にならない”という指摘が噴出しました。私はブリヂストンのIT統括部門と連携して事態の把握に努め、対応策を講じていきました」
同時アクセス数を増やして強固な回線へ
当時、ネットワークへの外部からの同時アクセス数は数千前後。それを増強する必要が判明した。このままではブリヂストングループの事業全体が停滞してしまうという危機感が渦巻く中、普段からネットワークに起因するシステム障害への予防保全を強く意識していたM.S.たちの動きは早かった。多角的にどこがボトルネックになるかを整理し、まずは通信回線のキャリアに対して回線を増強する交渉を行った。通常はオーダーしてから変更されるまでに3ヶ月近くの期間を要するが、2人は多くの試行錯誤を重ねた末、対応期間を1ヶ月にまで短縮することができた。1週間でも動きが遅れたら、きっと大幅に期間を要したことだろう。緊急事態の中でも冷静かつ迅速に判断を下し、諦めずに最善を尽くし続けた結果、ブリヂストングループ全体に対する大きな功績となった。
ネットワークの構成を根本から見直す
回線を増強することに加え、ネットワークの構成見直しにも着手した。同時に受け入れることができるユーザー数を確保するためにネットワークの構成に抜本的なメスを入れたとK.K.は語る。
「クラウドのロードバランサーを導入し、外部から社内ネットワークにアクセスするユーザーの負荷分散を行い、さらに社内ネットワークの構成も変更しました」
この対応策を取ったことにより通信はさらに安定し、本格的に対応を始めた2020年3月から1か月後の4月には通信障害が解消され、彼らに対する指摘や対応依頼も届くことは無くなった。
安定した今こそ次の手を考える
現在のブリヂストングループの社員は快適なテレワーク環境を得ている。M.S.もK.K.も、ブリヂストングループの事業を大きく遅滞させることなく乗り切ったことに深く安堵した。それは、彼らが抱いている責任感の表れでもある。通信環境という、生活や仕事の場面で「あって当たり前のもの」を守っていくというプレッシャーは計り知れないほど大きいことである。
また、一連のプロジェクトで緊急かつ重大な任務にチーム全員で向き合ったことで、BSWのチームワークを再確認できた出来事でもあった。
彼らは常に、現状のネットワークであっても完璧ではないと考え、今なお、より優れた環境の構築を模索していると言う。「今回のような障害発生だけでなく機能拡張の対応など、あらゆる状況に対応できる環境の構築を検討していく必要があります。何かが起きてしまうのを待つのではなく、先を見越してこちらから動いていく必要があると思っています」とK.K.は語る。正解は模索し続けるものだと考える彼らのおかげで、これからもブリヂストングループの通信インフラはしっかりと支えられていくことだろう。