事業紹介

プロジェクトストーリー

生産と物流の動きをITで最適化する~生産物流プロジェクト

生産計画を元に工場で製品を生産し、自社の販売拠点の支店や倉庫へ物を運ぶ一連の流れを「生産物流」と言う。
製造業の要といえる生産物流業務の再構築にIT面から貢献することが、『生産物流プロジェクト』に課せられたミッションだ。いかにしてメンバーは、社内外から非常に高い評価を受けたシステムを立ち上げることができたのか?
その軌跡を追った。

プロフィール

※プロフィールは取材当時のものです。

Chapter01 
2007年――生産物流プロジェクト、始動

「必要なものを必要なだけ、必要な時に、必要な場所へ」をミッションに、社内で生産物流プロジェクトが立ち上がったのは、2007年のことだった。

 お客様が欲しい商品を欲しい時に欲しい数だけ届けるためには、「全国のどの工場で商品を作れば最も効率が良いのか」「倉庫にどれだけ商品を用意しておけば足りるのか」などを、日々予測して計画・実行していかなければならない。
 ブリヂストンで30年間稼働してきた生産物流システムを大幅に見直し、サプライチェーンのボトルネックの解消と、販売に即応した供給ができる新たな仕組みを構築することが今回のプロジェクトの目的だ。工場生産から各倉庫へ出荷までの流れのさらなる効率化を図り、売上の向上、顧客満足度アップにつなげていくために、プロジェクトメンバーが招集された。

 しかし、プロジェクトは立ち上げ当初から難航した。
 当時、生産物流プロジェクト推進課長として参画した馬場知子はプロジェクト初期をこのように振り返る。「ミッションこそ最初から決まっていましたが、どう具体化していくのか、なかなか明確になりませんでした。こうしようと思って実行に移そうとしても、現実との整合性が取れない。理想と現実をどう結びつけるかを模索する日々が続きました」。
 多数の人々が関わる大規模プロジェクトだった点も、難航した理由の一つだ。一時期は社内外含めて最大100名が参画したが、需給調整ひとつ取っても、様々な立場の人々の意見をまとめるのは容易ではなく、計3回もの仕切り直しを要した。

Chapter02 
2010年――プロジェクトの見直しを迫られた

 ターニングポイントになったのは、プロジェクト開始から3年が過ぎた2010年のことだった。「このプロジェクトでもっとも必要なことは何か?」と目的の再定義を行い、方向性を確認し合った。そして、ひとつひとつの課題を地道に解決することに努めた。
 「まずは当初の目的に立ち返って、優先順位をつけることから始めました。そしてスコープをコンパクトにし、何を行うべきかをはっきり明確にしたことで、全体がスムーズに動き出しました」(牧野)。

 2008年に中途採用で入社し、同年に生産物流プロジェクトに基盤統括リーダーとして参画した高橋剛士は、プロジェクトの方針変更について「多少の戸惑いはありました」と語る。「基盤のコンセプトをどうプロジェクトにマッチする形で変えていくのか、常に気を配りました。また、様々な会社と連動して動いていたため、会社間の文化の違いなどを埋めるべく、会議を密に行ってチームワークを築くことを心がけました」。

 2009年に新卒入社し、2010年に入社2年目にして生産物流プロジェクトに参画した森田寛も、「これほどの大きなプロジェクトに、入社間もない自分が関わるのはプレッシャーもありました」と率直に語る。「私の役割は、新旧のシステム同士で、どんな仕組みを残すか、または変えていくのか、整理する作業に努めること。プロジェクト全体がどういう状況で、自分が何をすべきかを把握するのに苦労しましたが、そうした中で、生産物流業務とは何かについて、より深く知ることができました」。

 それぞれ中途と新卒の違いはあれど、入社間もなく大規模プロジェクトに参画した高橋と森田。牧野と馬場は、そんな2人を影で見守り、彼らが迷った時や困った時に手を差し伸べ、フォローに努めた。そして2人が次第にユーザーやベンダーとのつながりを築く様子を、あたたかく見守っていた。

Chapter03 
2012年――ついにシステム移行へ

 そして生産物流プロジェクトは最後の段階――システムの本番移行に入った。2012年7月、とある日の深夜に、全国10工場で旧システムから新システムへと一度に切り替えることになったが、大掛かりなシステム移行のため、トラブルをいかに防ぐかが懸案事項だった。プロジェクトのメンバー全員が、念入りな準備とスケジュール調整を重ねて本番に備えた。

 移行の当日。大きな不具合もなく、無事に予定通り、システムを立ち上げることができた。その後も、平日の夜間や土日に、残りのシステムについて段階的に新旧の切り替えを行っていった。切り替えの期間中、夜間も含めて立ち合いと監視を続けてきた森田は、ずっとノントラブルという結果にほっと胸をなでおろした。
 「過去に1回プロジェクトを仕切り直したことで、不安要素をなくすことができ、これだけスムーズにシステム移行できたのだと思います。プロジェクト立ち上げ当初の逡巡は、決して無駄ではありませんでした」(馬場)。
「準備にかなりの時間をかけていたので、移行時に苦労したという感覚はほとんどありません。私の中では、うまくいくイメージしかありませんでした。予定通りしっかりできた!とガッツポーズでした」(高橋)。

 そして2013年1月、システム移行は無事終了。生産物流プロジェクトは7年目にしてようやく完了した。新システムのリリース後、プロジェクトが目標としていた数値を達成することができ、ユーザーからも「使い勝手が良い」などと高評価を獲得。同年、その功績がブリヂストンに認められ、「準特別功労賞」を受賞するなど、大きな成果を得ることができた。

 プロジェクト完了について、森田はこう振り返る。「入社直後の知識があまりない状態から始まったので、無事に終わったと感慨深かったです。リリース後にユーザーの方から『森田を信じてよかった』というメールをいただいた時はとてもうれしく、大きな達成感が得られました。しかし私たちにはシステムを今後も保守していくミッションがあり、気は抜けません。この経験を糧に、ユーザーからの要望を的確にシステム化すべく、さらに積極的に業務に携わっていきたいと思います」。

Chapter04 
2015年――そしてグローバル展開へ

 仕事の進め方や役割分担の明確化、コミュニケーション方法、そして周囲からの信頼と人脈――。生産物流プロジェクトを通じて、参加するメンバー皆が、たくさんのノウハウを得られたと馬場は振り返る。「これほどの学びは、やはり大規模プロジェクトを経験しないと得られません。プロジェクト完了の達成感も含めて、ぜひ多くの社員に経験してほしいと思います」。

  今回の成功を踏まえて、ブリヂストンソフトウェアは現在、いくつかのプロジェクトを進めている。サプライチェーン全体で連携して価値を向上すべく、われわれの部門では、関連データの利用可能な情報基盤の仕組みの整備をさらに進めていく予定です」と、牧野は今後の展開を見据えている。

 近年、海外へ出張・出向する社員がますます増え、グローバル対応に向けて社内の意識が醸成されてきている。足掛け7年の生産物流プロジェクトの成功は、ブリヂストンソフトウェアをさらなる飛躍へと導いてくれるだろう。